カスハラ防止法制化とカスハラ防止東京都条例について
2024年7月19日に厚労省は、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」第10回において、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書(素案)」を公表しました。その「5 今後の対応の方向性(2)カスタマーハラスメント」において、「(労働者保護の観点からの法制化)
上司や同僚からのハラスメントと、顧客や取引先からのハラスメントでは、その性格や対応も異なるが、労働者の就業環境を害するもので
あり、企業の負う安全配慮義務等の観点からも、何らかの対策、配慮が必要という点では共通することから、労働者保護の観点から事業主の
雇用管理上の措置義務とすることが適切である。」と対策強化の必要性がうたわれており、これを受け報道各社は、カスハラ対策を企業に義務化する内容として報道を行っています。法制化のめどは2025年通常国会を目処としています。
また、東京都は、7月26日に公表したカスハラ防止条例の素案を公表したと報道がありました。また、それに先立つ7月19日には、「東京都カスタマーハラスメント防止条例(仮称)の基本的な考え方」について公表を行い、8月19日までの間、パブリックコメントを受けています。こちらは9月の都議会に提出予定のようです。
前回紹介したカスハラ防止マニュアルから踏み込んだ内容(マニュアル+)がどこまで法律・条例に取り込まれるかは気になるところですが、まず東京都条例の方は、事業者の取るべき措置については「努力義務」型とする方向感である一方、法律の方は、パワハラ・セクハラと同等の法的義務レベルまで引き上げられる可能性が高いと考えています。引き続き状況を注視してまいります。